住宅業界では、建物とインテリアを切り離して捉え、
プランを考える担当者も別々に立てるケースが多々あります。
しかし、住宅はあくまでも、生活を入れる「器」のような存在。
それ単独で機能するわけではありません。
器に入れるアイテムを含めて、バランス良く編集・デザインすることが、
私たち建築家の仕事なのではないでしょうか。
だからこそ、私たちは、多くのプロジェクトで、
心地よく暮らすための家具や雑貨も含めた提案を進めてきました。
また、社内でも実際に様々なアイテムを購入し、使用してみることで、
よりよいものたちや、よりよい組み合わせを積極的に模索しています。
こうした取り組みの中で、
「建築された器」の中で使用されるインテリアや雑貨への理解を深め、
住宅に必要な造作や、インテリアとの組み合わせを学んできました。
デザイナーや建築家は、全てをデザインしようと考えがちです。
インテリアも建物の一部として造作することもよくありますし、
それが有効に作用するケースも多々あります。
しかし、プランによっては、市場に出ている質の高い家具や雑貨を
取り入れていくのも選択肢のひとつです。
イケアでも、無印良品でも、100円ショップでも、
クオリティの高いインテリアや雑貨がありますし、
世界中のマスターピース的な家具も、
一般的に普及されるところまできています。
大切なのは、これらを正しく選び取る知識やセンスを持っているかどうか。
住宅づくりには、建築の領域とインテリアの領域を横断する眼が必要なのです。
オーダーメイドのオリジナル造作から、高級家具、安価な既製品まで。
それぞれのデザインと合理性、コストパフォーマンスを理解しながら、
何をどのような方法で選定し、取り入れていくのか。
こうしたバランス感覚や、編集スキルこそ、
私たちデザイナーに求められるものなのではないでしょうか。
既製品を知った上でオーダーメイドの造作をデザインすること。
オーダーメイドの造作を知った上で既製品をセレクトすること。
そして、分業された建築とインテリアの境界を超え、
再編集を行い、ひとつのライフスタイルをデザインしていくこと。
それが、私たちrengoDMSの仕事であり、
家づくりのスタンスでもあります。
2012.11.15