ポエトリーのあるコア~4つの異なるレストルーム rengoDMS headoffice

投稿日:2018年09月27日

僕の手許に、60年前のユナイテッド・アーキテクツ「連合」という4人(吉田英雄・戎居研造・小宮山雅夫・吉田桂二)の創業にあたり、私の父研造の伯母であり、育ての親でもある作家・壷井栄の出資承諾書がある。父はよく好んで、small beginingsという夢を語っていた。

 

 

カラフルに宝石箱のように存在するコアのボックスには、壷井栄の蔵書や資料の一部があり、草創の時代の大切なエピソードとしてそれは、お客様や私たちを包み込むかのように囲む配置にしている。4つの異なる色、プラン、素材によってつくられた空間は、お客様やスタッフのためのプライベートであり、洗面やトイレを兼ね備えているだけでなく、気分をリフレッシュしたりドレスルームとして身だしなみを整えられるようにしていて、外からはそれぞれ奥のトイレが見えないようにしている。

この4つの空間にはそれぞれ壷井栄の「正」「冬」「光」「愛」という人生を追憶するようなテーマを表現するような構成になっている。またこのひとつのボックスでありながら4つの異なる部屋という存在は、草創の4人のアーキテクトのフィロソフィーである「個性の相違を確認しながら、わかちがたいもの(インディビデュアル)としてのユナイテッドを止揚した精神性」をも表現の中に込めたものである。

リニューアル前のこの空間は、当初のモダニズムのオフィス建築同様、ユニバーサル(自由に使用できる執務空間)とコア(トイレや湯沸かし室、階段室)にスペースががわかれていた。新しくホスピタリティーのある空間として”招く”ということを大切に考えた時、コアという存在を、コトのはじまりや今までのレガシーをもって温かく包み込む、ポエトリーのある最も大切な”コア”というものに仕立てたかった。(2008.3 新建築より掲載より加筆)

是非皆様遊びに来てください!!                                        

 戎居連太

 

2018.9.27 投稿|