一部変更、訂正を加え増刷二版目の書店販売を開始いたしました。現在二版目は阿佐ヶ谷ネオ書房で現物在庫があることが確認されています。(2021/7/7更新)
※少量生産本でもあり現在流通が不安定な状況で、大変ご迷惑をおかけし申し訳ありません。
5月中旬発売、早々ご好評頂き、もう既に出版元の在庫も数える程となりました。ありがとうございます。今現在、重版の予定は決まっていませんので、ご興味のある方は下記書店などでお早めにご購入ください。(2021/5/22更新)
現在新宿のブックユニオン、くまざわ書店武蔵小金井北口店、紀伊国屋書店新宿本店、新宿の模索舎、ジュンク堂書店池袋本店、ブックファースト新宿店、神保町の小宮山書店に現物在庫があることが確認されています。 (2021/5/21 更新)
書籍『東京80年代から考えるサブカル』(図書新聞社)が刊行されます。
5月13日〜14日に神保町の小宮山書店、新宿の紀伊國屋書店、ブックファースト、ブックユニオン(ディスクユニオン)等で販売されます。
cameraworks by Takewaki
《近々書籍化》
仲正
米原 基本的に
仲正
信國 ギャルソンやヨウジヤマモトのようなブランドから発生した身体性のようなものがあると思います。そのデザインは、リバイバルされて、もはやスタンダードになってしまっているので、今の若い日本の女の子は、西洋的な身体に憧れて、モデルのように胸を張って歩こうとかいう意識はないのではないでしょうか。
菩提寺 バルトは、
仲正
米原
仲正
米原 もう全然ないですね。
信國
米原
信國
米原
――セント・マーチンズの時代からそういう感じだったんですか?
信國
菩提寺 ここの(rengoDMS)戎居さんが濃紫のカシミアコーデュロイでスーツをつくりました。
信國 コーデュロイは勧めていますね。高級な素材も使っています。記号のゲームをするデザイナーを降りたので。
米原 今は、体制サイドに入ることの方が圧倒的にパンクだよね。
信國
米原
菩提寺
photo by s koshino
信國 そもそも僕が〈ジョン・ガリアーノ〉に研修生として入り込んだのは、
菩提寺 サヴィル・ロウの歴史を僕の知る範囲で話して、
信國
米原
米原
仲正 うん、そうですね。
菩提寺
photo by m bodaiji
信國 オズワルドはもう古くて今年もうお店がなくなるという話ですね。
菩提寺 じゃあ今は先ほどのチットルバラ・アンド・モーガンの流れになっているんですね。
信國
菩提寺
信國
菩提寺
信國
菩提寺 信國さんは「記号のゲーム」から降りているが、最先端の流れに手を付けられ
信國
菩提寺
信國 そうですね、何か物足りなかったのでしょうけれど、今思うと過去に日本で学んだことについて、「あの先生は何故こんな偉そうなことを言ったのかな」という部分もありますね(笑)。
菩提寺
信國 勘違いもいろいろありますね。
菩提寺
信國
――埴谷雄高と吉本隆明の「ギャルソン論争」についての話から発展しましたが、「欲望の肯定」という論点も出ました。前回のトークイベントの他力本願やSMの話にも繋がるようですね。完全に自分自身を他に委ねてしまうことは、実は主体を失くしているのではなく、完全に委ねてしまうことが本当は最も強いことだという議論でした。他力本願は信仰と結び付ているものです。信國さんも仰っていたように、吉本は「信」の問題を巡って親鸞思想の核心を論じていたと思います。また、「理趣経」は真言密教の経典ですが、どのように解釈するかという問題は、あるところまで修業しないと読み取れない内容というか、一般の人びとが享受できるような経典ではないというところで、ご指摘の通り要求される解釈のレベルがあるのだろうと思います。
埴谷の言うこともちょっと面白いなと思った面があります。内容そのものではないのですが。トークの冒頭で、マス対マスでは向い合えるけれども一対一で向かい合うことがなかなかできない、という話がありました。埴谷は嫌味たっぷりな文章で真っ向から吉本に向かった。前回のトークイベントで、仲正先生から、昔のアイドルは高橋英樹のように、骨格がしっかりとした男が多かったという話がありましたが、まさしくそういうイメージです。埴谷には今の男子にはないような骨太なイメージがあるな、こういうのを恰好いいと言うんだな、と思いました。
また、クラフトからテーラーの話になりました。デザインやファッションの記号ゲームから訣別して、信國さんは今テーラーとしてお仕事されており、今作られているのは1着数十万円という高価な洋服です。埴谷と吉本の論争――「あんなに苦しかった戦中の国民服等からファッションは楽しいという時代に来たのだ。それを楽しもうという趨勢になっている」(吉本)、「けれど、あなたの部屋にあるシャンデリア等云々」(埴谷)――に見られるように、アヴァンギャルドなギャルソンが、それほどお金を持てない人たちの、ある種の攻撃の対象、権威と見られるような面についてはいかがですか。
信國 例えばダライ・ラマ法王は〈ロレックス〉の時計をはめていますよ。
菩提寺 ”値段”というものについて、
米原
菩提寺
仲正 信國
米原
信國
菩提寺
信國 手が込んだものが存在し得る社会の方が健全だと思います。
米原
菩提寺
米原 炎上に戻る感じ?(笑)
仲正
――クレームというブランドにぶら下がってしまう感じでしょうか。
仲正
photo by yoko
一同 (笑)。
菩提寺
信國
菩提寺
信國 そうですね。僕は今、根本をチットルバラ・アンド・モーガンのスタイルで作っているので、それを日本人に合わせていく中から、必要項として見つかっていくのかな、という感じはありますね。前ほどことさらに、「何もないところから自分のスタイルを作ろう」ということはあまりなくて、やっていく中から、ですね。先ほど触れた黒人のマイケル・ブラウンもチットルバラ・アンド・モーガンにいたんですが、同じことをやっていながら彼が作ると何となく微妙な違いから生まれる個性があります。
菩提寺
信國 これだけイタリアニズムに席捲されているし、僕も以前は影響を受けている部分もあったんです。そこにあるのはスタンダーディズムというか、その人っぽい体形というか、あまり誇張せずにその人らしさがいい、という感覚だと思います。でも今はそうではなく、もう少し盛った格好良さというか、その人に威厳を与えたりするものが欲しいですね。イギリスの服の根本にあるのは、僕が触れてきたデザイナーのアレキサンダー・マックィーンからジョン・ガリアーノまで、仕立てにかかわらず、そこにあるのはある種の盛った美学です。分かりやすく言うと肩パットの問題です。今これだけNGと言われている肩パットをもう一度復権させたいな、と。それも80年代的な有り様ではなく。自分はそれが美しいと自分は思っているので。「行っていいのかな」という微妙な気持ちがずっとあったのですが、それがやっとなくなってきたのが、ここ最近の変化です。
菩提寺
信國
菩提寺
仲正
菩提寺
仲正
――仲正先生は大学に就職活動をする時、どんな格好をされたのですか?
仲正 本当に面接まで行ったのは多分2ヶ所だけだったと思いますが、普通にスーツを着ていきましたよ。
一同 おお!
仲正 信國 僕と共通する部分があります。それは僕の妻がよく知っていると思います。僕が今着ているきちんとした服とかは、カモフラージュという意味があって。作ることはやっていますが、自分自身では本当は服で見せるということには興味はないんです。だけどこういう職業なので。服を作るのは好きで、美しい服は本当に好きなんですが、自分自身のものにはそれほど頓着がないんです。
米原 プライベートの時とかすごいもんね(笑)。
――先ほどの仲正先生の、仕事だと思って隣の人とコミュニケーションをとってみるというのと近い話ですか?
信國 そこまでではないですが(笑)。
――最後に会場からご質問はありますか?
では、指名させていただきます。信國さんのパートナーのアキさんは?
「質問というか感想というか、本人が言ってましたが、彼は本当に着た切りスズメなんです(笑)。気に入ったものをずっと着続けて、ボロボロになって捨てるということの繰り返しです」。
――日本人のメンタリティの話もありましたが、米原さんと仕事をされているWangさんはご質問や感想はありますか?
「中国では、ファッションについても、アートについてもそうですが、情報がまだ多く入っていないんです。信國さんのような人が自ら行って自分の作品を広げるというのはすごく大事なことだと思います。僕は日本に6年間住んでいますが、ますます感じるのは、中国と日本はお互いに知らないということです。僕自身は今は雑誌をやっていますが、ファッション等を通じてお互いのことをよく知るようになりたいな、と思います。
質問が一つあります。最近のファッションに関して、ハイ・ブランドとストリート・ブランドのコラボが結構頻繁にやられていますが、それについて皆さんはどう思われているのでしょうか?」
米原 原価率はさらに低くなっているよね。
信國 それはありますね。
米原 本当にイメージだけの世界。
「昔からそういう動きはあったんですか?」
信國
菩提寺 Wangさんに質問があるのですが。中国でも一般的に、こういうブランドを着ているとこういう考え方の傾向を持つ人だ、という認識はありますか?
信國太志×米原康正×仲正昌樹×菩提寺伸人(菩提寺光世 司会)|2018.08.20